バンコクに来てから早や2ヶ月、連日美味なるメシを食い続ける私でございますが、ついにすさまじきマズいものを食べるという貴重な機会に恵まれましたので皆さまにご報告いたします。おいしいものを文章で表現するのはまぁ、普通にできるのですが、果たしてマズいものをいかに表現するか? これはモノカキとして一つの修行になるため今回はそれに試してみたいと思います。当然店名は挙げませんが、とにかくそのマズさに私は感動したのであります。その前に、おいしいバンコクメシを一枚張り付けておきます。ケバブです。素晴らしかったです。
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そうして、他のアラブ人街へ行った時のシャワルマの写真も貼っておきます。これも素晴らしかったです。
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そしてレンズマメのスープ。これも素晴らしかった。
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というわけで、私は本日、「バンコクのアラブ料理・トルコ料理は実に美味である!」を覆す店に行きました。今回2ヶ月でハズレはチリチリに焦げた髪の毛が入っていた韓国料理屋だけでした。お通し的なたくさんおかず出るじゃないですか、小魚を甘辛く炒めた田作りみたいなヤツが出ました。一瞬「チン毛かよ!」と思い、一気にこの店がおいしくなく感じたことがあっただけです。実際、カムジャタンは新大久保の方がおいしかったです。

タイ・ラオスでもう110回ぐらいはメシを食っているのですが、ついに人生史上2番目にマズい外食をまさかのバンコクで食べたのでした。もっともマズかったのはドイツ・フランクフルトで「冷菜5種盛り」というのを頼んだところ、酢漬けのニシンがヨーグルトまみれになっていて、それぞれ紫・青・赤など怪しい色になっているのが1kgほどドッカーンと出てきた時です。これはさすがに食えず、ビールを1杯飲んで早々に退散したのですが、今回はそれ以来のことでございます。

さて、我々が狙いをつけたのは某トルコ料理店。別にペルシャ料理店(イラン料理店)でも良かったのですが、酒が出ないため、このトルコ料理店を選んだわけです。事前に日本人の書いたブログを読んでみると「シーザーサラダを頼んだら粉チーズとクルトンがない! しかもシーザードレッシングではなくマヨネーズである! こんなものは断じてシーザーサラダではない!」と違和感を表明しつつもこのブログ主は怒りを抑え「まぁまぁでした」と締めていました。

この時点で若干の怪しさは感じていたのですが、「まぁ、天下のトルコ料理だからなガハハハ! トルコで食ったメシは全部ウマかったからな!」と私は鷹揚に構えていました。それでは2015年、トルコ・イスタンブールで食ったメシを紹介しましょう。
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鶏の煮込み
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ラムのグリル
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野菜のチーズオーブン焼き
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パン
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ケバブ
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サーモンのグリル
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レンズ豆のスープ

これをバンコクで食べられるのか! と喜び勇んで今回の店へ行ったわけです。まず、遠くから見ると暗くてやってるかどうかが分からない。近づいたら電気は点いているのでやっていることは分かりました。「2人ですよー!」と私はにこやかに女性店員に言います。さぁ、ケバブとパンとレンズマメのスープを頼むぞー!「羊飼いのサラダ」はキュウリ・トマト・タマネギをみじん切りにし、酢とオリーブ油とレモン汁と塩胡椒をかけたもので、コレがケバブと合うんですよ! 楽しみですねぇ、という算段を取ります。

そして早速シンハービールを頼み、メニューを開けると途端に不穏な空気が流れてきます。なんと、食事メニューのうち、40%が「Not Available」とシールが貼られているのです。ラム肉か牛肉を薄く切ったケバブは当然あるよね、ガハハ! とそのページを開けたらなんと、Not Available! 基本的にこの店ができるのは羊肉のひき肉か羊肉角切りにしたもの、チキンだけのようです。

この時点で怪しさがプンプン漂ってきたのですが、さすがに薄切りのケバブってトルコ料理では看板メニューでしょうよ、おやっさん、本当はあるんだよね? とばかりに「コレ、今日はあったりするの?」と聞いたら「ない」と言う。というわけで、仕方なく2倍の値段する羊肉の角切りケバブと羊飼いのサラダを頼みます。実際に皿を見てから追加はするか、ということで「とりあえずこの2つで!」と到着を楽しみにします。

すると、従業員がやってきて「羊肉の角切りはない。チキンだけだ」と言う。えーーーっ! と思うものもないものは仕方がない。我々探検隊はチキンのケバブを頼みました。そしてまずは羊飼いのサラダがやってきました。まず、そのルックスを見た時に仰天しました。

「あのさ、コレ、切り方がデカ過ぎないか?」と。通常このサラダは、7mm角的な大きさで出てくるのですが、明らかに1.3cmぐらいはある。そしてスプーンですくって皿によそってみました。……味がない……。しかも妙なインド風のスパイスの味がする。塩と胡椒と酢がまったく効いていない。卓上の塩をかけたら若干味は改善したものの、胡椒をかけたら怪しいインドスパイスと相まってさらにマズくなる。この段階で我々は「この店、相当ヤバいのでは……」という疑惑を持ち始めますが、しかし店の人に敬意を表したいのとせっかく来たのだからなんとかいいところを見つけようとします。

「ライムを追加で頼めばそれっぽくなるんじゃないかな」と頼み、ライムを絞ります。しかしライムが固すぎて汁が出ない。なんとか全身全霊を込めて絞ったのですが、やはりマズい。キュウリは種が育ち過ぎて肥大化している。ちょっと、この羊飼いのサラダをまずくする料理人って誰だよ。女将を呼べ! 興味が出てきた! という状態になります。というわけで、おいしかった羊飼いサラダを紹介し、この店のものを続けます。

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コレはウマいです。そして ↓ がマズいです。
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なんでこんな食材でマズくできるんだ……と唖然としました。そして、チキンケバブがやってきました。
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チキンケバブ(ってこれ、ケバブか?)、米、ポテト、タマネギ、レタストマトサラダ、焼きナス、パンです。例のサラダはマズかったけど、こっちはおいしいのかな! とまずは冷凍ポテトを食べます。ウマい。パンをちぎりナイフでチキンを切り、タマネギとレタスをくるみます。……………。妙なインドスパイスの風味があるだけで味がない。しかもタイの鶏って無茶苦茶ウマいのにパッサパサ。極めつけはタマネギがマズいところでした。これはどうしようもなく古いタマネギだろう……。塩をかければなんとかなるだろう、と少し塩を振ったのですがいかんせん鶏のパサパサ度合と冷たいパンと汁気の無さはもはや食べられるレベルではない。

おい、トルコ料理ってどこでもウマいはずなのに汚さないでくれよ~と渋い顔をしていたら私の連れも同様の顔をしている。

「こりゃ、食えんな」
「うん、ひどいね……」
「出よう」
「そうしよう」

結局シンハービールを1本ずつ、若干の野菜とほんの15gほどの鶏を食べただけで、我々は会計をしてしまったのです。「何をゴーマンな!」と言わないでください。本当にマズいのです。食えないです。カネは全額払ってます。私だってこんなことはしたくありませんが、本当に食えないレベルでマズいのです。店員には「申し訳ない。ちょっとワシらの舌には合わな過ぎた」と伝え、店を後にしたのでした。

というわけで、夜ご飯はバーガーキングになったのでした。店の名前を出してない以上、同店を批判する意図はありません。あくまでも「この店はヤバい」という空気を一瞬でも感じたら多分ヤバいのでその勘は信じろ、ということを言いたいのです。思えば「Not Available」が多すぎる時点でこの店がやる気がないことは分かるべきだったんですよ。しかし「いや、せっかく来たんだから…」で結果的にこのように互いに不幸せな状態になったのです。
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