表題の通りライター・切通理作氏の初監督映画『青春夜話 Amazing Place』(2017年12月2日~12月15日・新宿ケイズシネマ)の試写会に行ってきましたが、実にエロい、エロい! いったいこりゃなんだ! 途中から勃起し続けじゃねぇか、この野郎! という内容でした(本当はこんなこと書きたくなかったが、映画について正直に語るとなれば、この件を避けるわけにはいかん……)。裸のシーンとかはあるのですが、登場人物が妙に生生しいというか、超絶イケメンと美女というのが登場せず、これが実にリアリティがあって……という展開が続くのでした。しかし、内容自体はとんでもなく倒錯的でリアリティはないけど、性描写や細部のセリフ等にリアリティがあるのです。
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初めて私の身体に異変が起きたのは、妙に色気のある豊満アラフォー女が会社のハゲ課長に居酒屋個室で吐息をつきながら迫ってくるシーンですね。続いては、主人公の野島喬(俳優・須森隆文)と、青井深琴(AV女優・深琴)がバーで飲むシーンですね。少しずつ距離が近付き、そして手を握って……。アァァ、こんな経験、22年ぐらい前にした! うわぁ、恥ずかしい! でも、あの時オレは世界で一番幸せな男だった! みたいなことを感じるわけです。

さて、試写会を見に行くきっかけは、過去に漫画家・小林よしのり氏の主宰する「ゴー宣道場」に私がゲストとして呼ばれた時に、切通氏に会ったことにあります。それがあって今回監督から試写会のお誘いをいただいたのでした。1990年代の『ゴーマニズム宣言』に同氏は登場していたのを読んでいたのですが、当時の漫画に登場する純朴さというものを今回映画から感じました。なぜ、同氏はこの映画を撮ろうと思ったのか……。それは公式サイトにこう書かれています。

〈僕は青春映画を見てると、無意識に学生の時の自分に戻っています。「こんな学校に通ってみたいなあ」とか。だけど映画館の場内が明るくなると、白髪混じりの自分が居て、狐につままれたような気分で席を立つしかない。そんな浦島太郎のような体験を、映画にしてみたいという気持ちが、いつからか沸き上がってきました。

 自分が映画というものを通して知った、楽しいこと、面白いこと、現実に果たせなかったこと……を一晩に集約した、現代のおとぎ話を目指しました。〉


これが妙に鑑賞後、腑に落ちたんですよね。切通氏が「学生時代に楽しかったこと、できなかったこと」を完全に妄想モード全開で実現させちゃったぞ、オイ!」というものだと私は本作を観て感じました。ここでも「ゴー宣」の時の純朴さを再び思い起こさせるのでした。
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さて、作品の内容は、たまたま出会った男女が同じ高校の出身であることが明らかになり、その晩酒を飲みに行き、そこから男がかつて屈辱を感じたであろう高校に侵入し、ありとあらゆる快楽に身を包み、「当時のリア充同級生ども爆発しろ!」という鬱勃たるパトスを大放出する内容になっております。いちいち失礼な要求をし続ける男とそれに戸惑いながらも応えつつ時に逆ギレする女。でも、2人(特に男)は最後まで欲望を次々と叶えていくわけです。ちょっと女ももっと毅然とした態度で断れよ! などとは思うこともあるのですが、何しろ「おとぎ話」なので、そこはそう展開せざるを得ない。

男が長身の薄毛で冴えない気の弱いヤツなのですが、彼のおずおずとした感じが作品にエロさを与えてくれるわけです。というのも、「こんなヤツでもやることはやれるんだな」なんて気持ちになり、モテない過去を持つ男にとってはファンタジー的になるから。

本作は一生でとにかくモテ続けた経験を持つ人にとってはよく理解できないかもしれません。しかし、モテなかった人間にとっては若干の救いと悲哀をもたらすことでしょう。どうしようもないストーリーではありますが、むずむずするエロさを大画面で観たい人向け。

さて、私はこんな感想を持ってしまったわけですが、若干の特殊環境で観たから、というバイアスがかかっている可能性はここで伝えなくてはなりますまい。試写室の最前列の左端で観ていたのですが、上映前に挨拶をした切通利作監督と主演女優・深琴さんがなんと私の隣の席にやってきたのです。監督と私で深琴さんを挟む形になったのですが、スクリーンでくちゅくちゅとキスをしたり、全裸になっている女性が左にいる--。

なんじゃ、これ、これぞ5D映画じゃねぇかよ!!!!(意味不明) なんてことを思ったあまりにも特殊過ぎる映画環境だったので私は本文章で書いたような感想を抱いたのかもしれません。そこは色眼鏡がついてしまっているかもしれません。
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