9月16日、在日本大韓民国民団関東地方協議会が主催する 「北韓 核ミサイル兆発を糾弾する示威行動 -韓半島の平和を守れ-」へ行ってきました。同様の行動は名古屋・大阪・広島・福岡でも行なわれましたが、私は東京の会場を取材してきました。

DSCN4536
同集会・デモが行われるということを知った時、「ミサイル及び核については、北朝鮮の話なわけで、朝鮮総連マターじゃねぇの?」と思ったのですが、ともかく韓国系の団体である民団が今回の行動は起こしたわけです。一体なぜ民団がこんなことをしなくてはならなくなったのか。それについては、以下の「趣旨」をお読みください。現場で趣旨は読み上げられました。そのスピーチの文面は若干変わっておりますが、趣旨は以下の通りです。

 北韓は国連安保理の度重なる警告や制裁を完全に無視し、9月3日に6回目の核実験を強行した。韓半島のみならず世界の平和と安定を脅かした暴挙、人類社会への犯罪に対して、私たち韓国民団は在日同胞の総意を代表し、怒りを込めて強く非難し、抗議してきた。

 一方、日本に対しても北韓は、8月29日に北海道上空を通過して太平洋上に落下するミサイル発射を強行することにより、日本国内に極度の緊張と戦争の危機感すら与える暴挙を犯した。昨日15日にもミサイル1発を発射し、北海道上空を通過し、襟裳岬の東2000キロの太平洋上に落下した。

 日本に居住し、社会の構成員として日本社会での共生を目指すわれわれ在日韓国人および在日本大韓民国民団は、北韓の暴挙と北韓に追随する朝総連を厳しく糾弾すると同時に、日本社会に対して我々の姿勢を明らかにするために、北韓糾弾示威行動を実施する。


 10:30に日比谷図書館に着き、地下のホールに入ったらすでに大勢の人がいました。座るのも憚られたので一番後ろのスペースに立ち、この集会を見ることにしました。高齢者のために席を取っておく若者、実力者はそこにいる関係者全員と握手をする、といった風景を見ましたが、これは私が普段生きている中では滅多に見ない光景であります。これに対して論評をするというわけではありませんが、「在日である」ということにより、子供から高齢者までこうして集い、「同胞」と呼び合う姿には、我が身を振り返ると「一生あり得ないであろうカルチャー」を感じたのです。また、司会からは「在特会等が来るようなので、挑発に乗らないように」という注意も与えられました。「マリオンのあたりにいるらしい」というツイートもありましたが、ちょっと私が最後まで一緒に並んで歩いた中では在特会はいなかったと思います(いたらスイマセン。気付きませんでした)。

 さて、集会で主張されたことは以下の通りです。

・北朝鮮は核・ミサイル開発をやめよ
・朝鮮総連は金正恩・北朝鮮に対して批判的であれ
・拉致被害者を返せ
・北朝鮮の行為は韓半島のみならず、世界の安全と安定を乱す行為である
・金正恩は血眼で核・ミサイル開発に乗り出しているが、北朝鮮では餓死者も出る事態になっている。これは断じて許せない

 そして、事前に気付いてはいたのですが、「このままでは嫌韓を誘発し、ヘイトクライムが起こる恐れもある」といった話もありました。あぁ、これは民団が団結した形になってはいるものの、日本人に対してアピールをしなくてはならないという側面もすごく強いのだな、と。もはや日本に住み、働き、人間関係もある中、この地でいかに快適に生きるか、を考えた場合に、「北朝鮮の核・ミサイルには反対。世界平和と日本の平和を祈願する」を明確に言わざるを得なかったのだろう、という印象です。

DSCN4480


 3人目にスピーチをした幹部が豪放磊落というか、迫力のある人物でした。彼はこうスピーチを切り出します。

「今日、この会場には少数ながら、日本人の方もいらっしゃっています。志をひとつにする日本人の皆さんに拍手!」

 そして、朝鮮戦争に在日も参加し、多数の死者が出たことを示したうえ「こういった歴史があるのに(核開発やミサイル開発をする)金正恩はバカか!? あの小さな国で実験してどうなるのか。環境破壊もいい加減にしろ! あのアホは!」

 そのうえで、日本が世界で唯一被爆した国であり、広島・長崎では30万人が亡くなり、朝鮮人も3万人が亡くなっているという話をします。だからこそ、金正恩が核開発を絶対にやめなくてはならない、とも語りました。

「私は怒りをもって行進しなくてはならない。核は許さない! ミサイルも許さない! 韓半島に核なんていらない!」

  こうして集会は終了しましたが、その後はデモ参加者がシュプレヒコールの練習などをしました。基本は前出「趣旨」と同じです。今回のデモで印象に残ったのは、民団が日本人に対してかなりの配慮をしたな、ということです。これについて私はツイート済みなのですが、ジャーナリスト・石井孝明氏はこうツイートし、異議を唱えています。石井氏の考えなので別に何の否定もしませんが、少なくとも私は今回は「配慮」を感じた。(その後、石井氏は「表面的」と再度私にメンションを送ってくれました) ↓ スイマセン、なぜかツイートを取得できないので、テキストのリンクも貼っときます。

ishii

全然、日本へ気を使ってないですよ。民団も総連も。苦笑。こんな威張った居留民団、世界に存在しません。慰安婦を一緒に騒ぎ、ホームページには日本への呪詛。「良き市民の一因」「感謝」がない。世界の少数民族のコミュニティのHP見比べたら、在日(個人でなく政治団体)の行動は異様ですよ。

 デモが開始したら、コーラーの女性は「親愛なる日本国民の皆さん」と呼びかけ、「私達は日本に暮らす在日韓国人の団体・在日韓国民団です」と呼びかけるわけです。

DSCN4497
DSCN4498
DSCN4499
DSCN4507
DSCN4508
DSCN4521
DSCN4525
DSCN4529
DSCN4538

「核実験を称賛するだけでなく、金正恩に忠誠を尽くすばかりか」と前置きをしたうえで総連批判をし、「目をさませ」とまで言う。

 なんというのですかねぇ。今回、民団は「一緒にされたくねぇよ!」という気持ちはあったのかもしれませんが、「我々もあなたたち日本人と同様に北朝鮮の行為には反対です」と示さなくてはいけない、というところまで追い込まれたのかな、という感覚も抱きました。

 となると、気になるのが「北朝鮮のミサイルに右往左往し過ぎ」「戦争を煽り、戦争をする国にしたいという意図を感じる」「Jアラートはクソ」「金正恩と安倍とトランプはグル」とか「北のミサイルも核も悪くない」と言う方々はこれに対してどう反応するのか、というところです。日本人の中には、北朝鮮のミサイル発射により東京メトロが止まった場合に「駅員を罵倒せよ」とか煽動する方もいらっしゃったわけで、北朝鮮には甘い方も時にいますね。あとはテレビのコメンテーターとかでも「これだけの大国に囲まれているのだから北朝鮮がミサイルを撃つのは仕方ない」的なことを言う人もいます。日本政府・日本の各自治体が「騒ぎ過ぎ」という批判もあります。

 あまつさえ、ミサイルが来た場合は「地面に伏せろ」という対応をするような指導や各種避難訓練をバカにする始末。そういった状況なだけに、私は今回の民団の行動については「よくぞここまで踏み切った」と思います。「表面的だ」「お前は民団からいくらもらったのだ?」と言いたくなる方もいるかもしれませんが、まぁ、知ったこっちゃない。あくまでも現場で見たもの、感じたことを書いただけなんで。